つれづれの森

読書日記や推し事など自由気ままなスローライフ

『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』を読んで

近年「毒親」というワードが浸透していますね。
自分も一人っ子で過干渉気味の親を持ち、長年苦労してきました。

この『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』には、毒親育ちの子どもが自分の人生と向き合い、克服していくためのワークが載っています。
ワークに取り組むことで自分の心の整理ができたので、紹介しようと思います。

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なお、アダルトチルドレンとは何か?というと、
「子どものころに家庭内トラウマ(心的外傷)によって傷つき、大人になった人たちのこと」と定義されます。
「大人になれない大人」のピーターパン・シンドロームと混同しないように注意。

 

①自分の過去を振りかえる

アダルト・チャイルドが今抱える苦しみというと、「自己の喪失」。
他人(親)のために行動してきたため、自分の感情やニーズが把握できていない状態にあるのです。
おもに幼少期を振り返っていくわけですが、トラウマがあって辛ければ無理しないで、少しずつ進める必要があります。私はちょうど心療内科でカウンセリングを受けているタイミングだったので、心理士さんに相談しながら進めました。

あなたの家族にあった問題はなんでしたか?

・父は仕事で忙しくあまり家に帰ってこない。子育ての大半は母親がやっていた。
・両親ともに無趣味なので、生活パターンが固定化していた。
・父の愚痴を母が聞いて、母の愚痴を私が聞いていた。
・両親の言い争いの言い訳に私がよく使われて、損な役回りをさせられていた。
・私が一人っ子だからか、私を中心に家の世界が回っていた。

家族にあった、暗黙のルールはなんでしたか?

・カレンダーに予定を記入しなければならない(私が成人しても続いた)
・門限がある
・お風呂の順番が決まっている
・他人に甘えてはならない
・母が機嫌の悪い時は話題に触れない
・性的な話やTVは厳禁
・掃除を母にばれないようにする(母親は掃除が出来ないが、勝手にやると怒るので)
・家族の移動は車移動。電車は使わない

②こども時代の自分と出会う

 子どものころで思い出す、家族のシーンはありますか?

・部活を辞めると言い出したときに平手打ちされたとき
・いじめを受けていたが、隠して美化した様子を夕食時に伝えようとしている

 子どものあなたは、その時どうしていましたか?

嵐が過ぎるまで耐えよう、良くないことは言わないでおこうとした

 子どものあなたはどんな気持ちでしたか?本当はどうして欲しかったですか?

・つらい気持ちを否定せずに共感してほしかった
・母は自分自身の学生時代と比べて物を言ってくるので、比較しないでほしかった
・ありのままのだめな私でも許してほしかった
・親自身も完璧であろうとしないでほしかった

 子どものあなたは、他の選択肢がとれたでしょうか?

他の選択肢はとれなかったと思う。(※そのことを認識することが大事!)

 子どものあなたが欲しかった言葉を与えてあげましょう

・いやなことはいやと言っていい
・間違ったり失敗してもいい
・できないことや知らないことは恥ずかしいことではない
・すべての人に気に入られなくてもいい

小さなこどもなりに、できることを精一杯やって生き抜いてきた。
一人でがんばってきたその子に大人のあなたが「よくやったね」と声をかけてあげる。

③自分の役割と向き合う

アダルトチルドレンは5つのタイプ・役割に分かれます。

1.ヒーロー (優等生)
しっかりしたいい子でいることで評価されようとする、家族の期待を一身に背負った子。本当は疲れていても努力を止めることを恐れ、間違うことを恐れてしまう。

2.スケープゴート(問題児)
何かとトラブルを起こす子ども。実は、家族の中に元々あった問題からみんなの目をそらす役割も果たしている。本当はとても傷ついているけれど、周囲に助けを求められず、攻撃的な行動として現れる。


3.ロストチャイルド(いないふり)

褒められもせず、問題も起こさず、目立たない子ども。家でも学校でも、つい存在を忘れられてしまう。本人は緊張した家族関係で傷つけられることから身を守っている。周りは「手のかからないいい子」とみるが、自分では「どうでもいいと思われている」と孤独になりがち。


4.マスコット(道化師)

おどけた態度やかわいいしぐさで周囲の緊張をやわらげ、場を和ませる子ども。争いがおこるのを回避しようといつも気を配る。場の空気がピリッとすると不安を感じやすい。自分の辛さを他人に話したり、まっすぐ人の目を見て真剣な話をするのが苦手。


5.ケアテイカー(お世話やき)

小さいときから親の面倒を見たり、親が起こした問題の後始末をしたり、愚痴や相談を聞いたり、カウンセラーのような役割をする子ども。下のきょうだいの保護者役になるケースもある。自分のことは後回しでひたすら他人の役に立とうとする。

自分は5つのタイプのうち、主にどの役割を演じてきたと思いますか?

ケアテイカー。

同じ役割を今も演じていませんか?思い当たることを書き出してみましょう。

・相手の望んでいることを感じ取る
・困っている人を、知らない人でも放っておけない(罰が当たると思う)
・他人を自分より優先する
・気配りすぎて疲れてしまう

反対に、自分の良い特質となっているところは?

・気配りが自然とできる。人の求めていることがなんとなくわかる。
・聞き上手である。
・共感力が高い。
・相手の立場に立って物事を考えることができる。
・人見知りをしない。

つらくて変えたいと思っているところは?

・気配りしすぎて疲れたり、いいように使われてしまうこと。
・自分のしたいことを優先できない
・「自分なんかどうせ無理」と失敗を恐れる
・自分のしたいことがよく分からない

④否定的なメッセージを肯定的に置き換える

あなたはどんなときに「自分はよい」「自分はダメだ」と学んだのでしょうか?

「自分はよい」と感じるとき:他人のために優しいことをしたとき。
「自分はダメだ」と感じるとき:他人より自分を優先してしまったとき。

その意識は、家族からどんなメッセージを受けた影響から来たものですか?

「他人のためになることをしなさい」

そのメッセージを、健康的なメッセージに置き換えてみましょう

「自分のためになることをしなさい」

⑤自分の「好き」と向き合う

あなたが必要なもの、あなたが欲しいものをリストアップしてみましょう。
今、何をしたいと感じますか?長い間我慢していたことはないですか?

・いつもの温泉でゆっくりすごすのが好き。
・パートナーとゲームしたり、日向ぼっこしながらコンビニのコーヒー飲むのが好き。
・お風呂で本を読むのが好き。
LUSHの化粧品を使うのが好き。
・いい雰囲気のカフェ巡りが好き。
・静かな本屋さんが好き。
・おいしいご飯とお酒が好き。
・コーヒーのにおい、ハーバル系のアロマの香りが好き。
・肩と背中のマッサージを受けるのが好き。

リストアップした好きなもので自分を満たしてあげること。

⑥親との関係性を見直す

1.親との分離

現在、大人になったけれど親が生活に侵入したり、子どもが決めるべきことを指示してきたりして困っている場合。
本来は思春期で解決すべき関係性を、今も続けているということ。
親の価値観にたいして、いったん「NO」と宣言する必要がある。

このとき、怒りをぶつけるのではなく、冷静に宣言すること。
親と同居しているのなら、一度物理的に距離を置くことも効果的。

2.親との間に境界線を引く

1.で親と距離を置こうとすると、親はいっそうしがみ付いてくる。
でもそれは、親の側の共依存の問題。親との価値観に境界線を引くとき。

3.親との関係をつくり直す

必ずしも、親と和解するとか、親を許すということではない。
「親を一人の人間として見る」ということ。
ひとりの男性、ひとりの女性として、俯瞰して見てみること。

4.親のためではない、自分の人生をつくる

3.で他人との境界線を明確にしたところで、
自己主張したり、対等に交渉できるよう、今までトレーニングする機会のなかった生きるためのスキルを学び、自分の人生を歩んでいく。

 

おわりに

これをきっかけに、「子どものときはこんなことで辛かった」「今後はこうしてほしい」とはっきり親に言えるようになりました。

親のことは今も苦手ですし、昔なんで私にあんなことしたの……!と思うこともありますが、憎しみを持ち続けるには、それはそれでエネルギーが要ります。
わざと音信不通にして距離を置いていた時期もありましたが、全部を「NO」とせず、つかず離れずの関係性を築いていければいいのかなと。

先日、久しぶりに会った両親は、「なんだか老けたなぁ」と感じました。
それは、寂しくもあり、二人を客観的に見れるようになったことでもあるのかな、と思います。